LIONの許婚

お金貸してクダサイ‼



「制服は・・・
学校に電話しょう
誰かのお下がりがあるかもしれない。」

加納の、家にはたよらない決心を
した悠里には加納家からは一円の
援助も受けない決心もした。

結婚詐欺の片棒は継ぎたく無いのだ


部屋に振り込んでいた太陽の光も
夕暮れと一緒に日が落ちてくる。

ポッポッと街の灯りが灯り街は
違う賑わいを見せ始めた。

家路に向かう車の列、サラリーマン
の群れ、ここは街の真ん中にある
マンション、成程30万の家賃は
安いのかも知れない。


悠里は近くにあるという桜祐の
マンションが何処かわからない
この、マンションを出る事を
告げなきゃいけないのだ。


日割りで行くと家賃は1日一万
1週間なら学校をやめ、就職して
稼げば月6万なら返せる。

1週間だけ、借りよう。
そう思い直せば安心した。


悠里の、リュックの、中には洗面用具、試供品回りをしてもらった
ティッシュや、歯磨き粉それに
友達にもらった体操服が3着上下
それに仲良しの友達にもらった
中学の、ボックスコートが1枚に
3日分の、下着がパンパンに
入っていた。

後ココに来る前、埋め立てゴミに
出すと言われたちっちゃい、
ミルクを温める用の鍋と悠里が
使っていた某インスタントの、
空のカップが二枚
毒親が食べた後の空だ‼


悲しいかなコレが悠里の、嫁入り
道具だ。
後千円が全財産コレだけは
使いたくなかった。


悠里は仕方なく投げ無しの千円を
握りしめスーパーへと向かう。

お米の、回りを通り抜け
パンの陳列を見ないように目を瞑り
行き着く場所は、パン粉売り場と
片栗粉、パン粉は90円の売り出しで
片栗粉は100円で手に入った。

光熱費を覚悟してお湯を沸かす。

カップ麺の空の入れ物に
水で解いた盃一杯の、片栗粉を入れ
それにグラグラしたお湯をかける
片栗粉はぶくぶくと膨らみ、
つやつやとして美味しそうだ。

パン粉はそのまま食べる
モサモサとした所に、もったりとした
片栗粉で流す、なんの味も無いが
悠里に取っては食事だ。
明日砂糖を買うか‼

なんせ千円も810円になった。
ジャラジャラと左手の、上で握り
ながらため息を付く!


「あ〜米腹いっぱい食べて
みたいなぁ」

中学の、時は給食があった。
しかし三上の、お嬢様のレッテルが
あったからガッッケ無かったが
残った物を食べるチャンスを狙い
上手く手早く食べていた。
違反だがパンも、持ち帰りし
生きて行くには仕方が無い。

三度の食事なんて食べたことが無い。


悠里はチマチマとパン粉を
食べる大事な食事をとりながら桜哉が言っていた事を思いだした。

「ああ、ココ桜佑の、
マンションの、前か‼」

アッ!
悠里は窓を開けて大きな交差点の、
前に立つタワマンを仰ぎ見る━‼


「ウワッ、⊙ ⊙あれか?」

如何にも金持ちが住む様なゴージャスな作り、街中なのに悠々と聳え立ち金持ちふうなお方々が出たり
入ったり。


「あ━━━━成程ね‼
高飛車にもなるわな!」

悠里は一大決心をして桜佑の、
マンションへと行く決心をする。
何度も自分のマンションの
ドアをあけ、桜佑のマンションを
眺める。
彼が帰る様子もなかったが
出たり入ったりが
めんどくさくて、遂に彼のマンションの前で待っていた。

中には入れなそうな雰囲気‼
警備の、人もいるし重々しい
雰囲気がある。

しかし今お金を借りられるのは
彼しかいない。


加納家には一円の、援助してもらう
つもりもない。
だから桜佑に借りるのは金融業者と
一緒だ、学校は絶対卒業したい。
利子を付けて返せば・・・


そう考え直した悠里はゴクッ唾を飲み一大決心をして桜佑を待っていたのだ。


桜佑は、夜中2時近く帰ってきた。

昼間見た桜佑の、高級車を追いかける

マンションの、入口前で桜佑は
悠里に気付き車を止めて

ビーっと開いた窓から桜佑は
不機嫌な顔をして

「用があるなら連絡しろ!」

と凄みのある顔で睨んできた。

『連絡?確かに?しかし
連絡場所も分からないし、待ち伏せ
するのがベストじゃ無かろうか?』

今まで文句や嫌味は良く言われて
来たものの、睨み付けられた事は
無くビビって何も言えなくなった。


「待ってろ‼」

そう言うと桜佑は車を駐車して
悠里の、いる所迄歩いて迎えに来た。


何となく桜祐を見て
嬉しくなったのは心細かったせいか‼

桜佑は悠里をゴミでも見るような目をして一言も喋らない

一緒にエレベーターに乗り
最上階迄の、ボタンを桜佑が押した。

彼が迷惑しているのは雰囲気で分かる、でも相談しないと始まらない。


流石金持ちタワマン
悠里は作りにも装飾品にも
キョロキョロ
好奇心のかたまりの15歳‼

「入れ!」

スゴスゴと、叱られた
野良犬の様に項垂れて
桜佑について入って行く。

初めて入った桜佑の部屋は
カーテンはグリーン家具は
黒とグレーで、統一されていて

だだっ広いソファーがデデーンと
存在感をアピールしていた。
大人の雰囲気満載の独身男性の
部屋だった。


桜佑は、財布を出し、

「金か、」

「え?なんで分かったの?」
悠里は項垂れていた頭を上げる
桜佑はフフツと薄笑いを浮かべ悠里に
言った。

「お前の親は金を良く借りに
来るからな!
親からは貰え無いんだろう。
全く良く似た親子だな!ハハハ
幾らだ‼」

悠里は急に、惨めになってきた
こんな傲慢な男から
金を借りなくちゃいけない
なんて、惨めすぎる・・・

込み上げる涙を
グッと我慢して呑み込んだ。


「お金もだけど・・・」


「なに?」


「あのマンション月30万なんでしょ
勿体無いし・・・」


「はぁ、まさかだけど
ココにすみたいの?

俺と本気の同棲?ジョーダンだろ?」

悠里は鼻で笑う桜佑にブンブンと
首を振った。


「ううん、高いからもっと安い
物件を探してみます。
1週間したらあそこを出ます。」



「はぁ?爺さんのマンション
なんだしタダだよ。
タダより安い物件って、
笑っちゃうし!」

桜祐はドデッカイ冷蔵庫から
ビールを取り出し
パカッと開けてゴクゴクゴクと
喉を鳴らした。



せっかく、パン粉で満たした腹が
又減って来た。

羨ましそうに桜祐を見る。

「悪いな、お子ちゃま用の
ジュースは無いんだよ‼」

「いえゴクッそんなつもりじゃない
です。」

「で‼」

「え?で?って、‼」
悠里は言いたいことが言えず

「いえ、それを伝えに来ただけです」
悠里は心底(≖_≖ꐦ )イラッ


「そ‼ 用事無いなら
帰ってくれないか!
俺は、疲れてんだ、寝たいんだよ。」



「せ、制服の寸法を・・・いえ、
制服を頂きたくて、お知り合いは
いませんか?
それと教科書を買うお金を・・・
貸していただけませんか?」

惨め過ぎて、言いたくなかったが
一気に口からこぼれ出た。
それだけ悠里も切羽詰まっていた。

今頼れるのは彼しかいない。

「は?教科書、制服?
そんな金も無いのに高校へ
行くつもりだったのか?ブフッ」
ꉂꉂあははは

「お前ウケるだっ、大丈夫かぁ
ꉂꉂあははは」
桜祐は貧乏人を馬鹿にして
大笑い。

悠里は惨めだったが我慢した。
高校へ進学するには
彼の援助は絶対だ‼

ふと顔を上げるとライオンの絵が
リビングに貼られていた。
ド ,アップの凄みのあるライオンは
悠里をジッと見据えていた。

それは桜佑に似た近寄りがたい
王者の貫禄を醸し出し
じっと見つめるライオンは悠里を
押さえつけるような
胸が苦しくなるような凄さが
あった。
目をそらしたくなる。


桜佑は、黒いカードを出し
「仕方ない、此で払え」
とポンと投げてきた。

ガードは悠里の足元に落ちた。


悠里は、文句も言えず彼の投げた
ガードを拾った。

惨めだっ・・た。

「用がすんだら出て行って!」
そう冷たく桜佑は、言い放した。
丸で悠里を近づけないように
しているかのようだった。

「あ・・・りがとうございます。
お金は必ずお返しします。」

悔しいけど今の悠里は親さえいなく
頼るのは彼以外いなかった
カードを手にしてホッとする自分もいた。

まだ未成年のあどけなく
可愛らしさが残る悠里には
お金を作るすべがない。

その日は桜佑にお礼を言って部屋を出た。

次の日、何か食べたくて
食べ物もなく、お金も無い。


ボーッと歩いていると新聞配達の
募集が目に入った。
朝刊と夕刊も配れば八万円

もう少し歩くとスーパーの夜レジ
の募集があった。
何時も用意して持ち歩いていた
履歴書を取り出し、ダメ元で面接
を御願いした。

恥も外部も気にしない。
桜佑に、ガードを投げられ
其を拾って、桜佑に頭を下げ
猫のように彼に擦り寄った時
邪魔なプライドは捨てた。

一人で生きて行かなくちゃ
私は三回、捨てられた。

生みの親
育ての親

夫になると言われて来た桜佑にも
捨てられた。

急に孤独感が襲ってきたが
食べて行かなくちゃいけない
まだ死ぬわけにも行かない。
それじゃなければ産婦人科の前で
何故死なずに生きていたのか
神様が生かしてくれた意味は
あるのか?。

でなければ、あんな育ての親に
会う前に死なせていたはずだ。

きっと生きる意味があるはず
其を見つける前に、潰れてはダメだ!
ライオンなんかに負けるか‼

ウオオオオオー
ウワオオオー
悠里は歩道橋の上で、3月の空に
向かい叫んだ。

心を絞り出すように
📣自分はかわいそうじゃなーい
デッカイ声で人目を気にする
事もなく・・・


📣あのー
ライオンを━━━━━━━ッ
見返してやるぅ━━━━━━ぅ
━━━━━━━━━オオ━━━ン‼
バカヤロ━━━ウ

悲しい叫び声は誰にも
届かない。

下を走るトラックにさえも
聞こえない。

憎たらしい桜祐の顔が夜空に
浮かび足をジタバタさせて
叫んだ

シ━━━━━━━━━━ネェ
クソ野郎ぅ━━━━━━━━👎





  


















  






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