毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


「じゃあね、結城さん」

「あ、うん、バイバイ!」


どんな人だったっけ?
と記憶を掘り起こしていると用件はそれだけだったようで友達らしき人に呼ばれて去っていった。


去る前に、以前女子達に向けていた完璧な王子様スマイルを浮かべて。


それに対し、私も自分の極上のスマイルを浮かべる。
鏡の前で何回も練習したやつね。


後ろ姿からも漂うイケメン臭。
白馬に乗って庭とか散歩してそう。
白がとにかく似合う。夏服が超似合う。


みんながお近付きになりたがる気持ちがほんの少しわかった。


『自分もイケメンが好きだから近付きたい』というわけではなく、あくまでも一般的に『みんなはイケメンが好きでイケメンと仲良くなりたがる』から周りの女子の気持ちがわかるという話で。


決して王子様に惚れたとか近付きたいとかそんな気持ちはない。


容姿を基準に好意を持つことそのものを否定するつもりは髪の毛先ほどもないが、私は容姿に関しては散々な思いをしたから賛同が出来ないのだ。

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