神様に人の不幸を願ったら、運命の相手を紹介されました
「おっ?」

会場へ向かう途中、神社を見つけて足が止まる。
そのままなにかに導かれるように、境内へと足を踏み入れた。

賽銭箱の前に立ち、縁起が悪いとかいう噂のある十円玉をあえて入れる。
柏手を打って手を合わせ、目を閉じた。

「お願いは、と」

……アイツらに、史上最大の不幸が訪れますように。

なんてお願いできる度胸があれば、きっとこんなことにはなっていないわけで。
でも、幸せを祈る気にもなれないのでせめて、今日、バージンロードを歩いてくるアイツらの前を黒猫が横切りますように。

今日は元友人と、元彼の結婚式だ。

……ええ、お察しの通り、友人だと思っていた彼女に、彼を寝取られたんですよ。
なのに。

阿澄(あすみ)はー、一番の友達だから、来てくれるよね?』

なーんて厚顔無恥にも招待状を渡された。
なんだかんだ理由をつけて断ればいいのはわかっていた。
でもそれができないのが私なわけで。
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