消えない傷・消えない痛み

**暖


俺には、頭良し、性格良し
顔良しの親友と。

頭も良くて綺麗で優しい
女の友達がいた。

俺達三人は、高校で出会い
親交を深め
同じ大学へと進んだ。

大学入学をした日に
伊織は、美桜に告白をして
二人は、恋人同士になった。

本当は、俺も美桜が好きだった。

だが、
伊織と美桜、二人が想いあって
いることは、わかっていたので
自分の気持ちは心の奥底に押しやった。

俺にとって二人は
自慢でもあり
大好きだったから
二人が幸せならそれで良いと
思っていた。

大学の三年から
インターンシップにあちこち入る
一つの大学病院で
勉強させてもらっているときに
「いいよな、学生は責任ないし
ミスしても、怒られるのは
指導係りの俺達で
割にあわないよ。

お前、青葉は、母親一人なんだろ?
わざわざ、大変な医者にならなくても
良かったんじゃない。

医学部は、金かかるし
お前の知らないとこで
副業やらしてるのかもよ。
ああ、お前が知らないだけで
愛人とかいるのかもな。」
と、言われて
自分の事は、なんと言われても良いが
母の事を言われるのは許せない。

母がどんな思いで
俺を育ててくれたか
わかっていたから。
「あんたに俺の母親の何がわかるんだ。
何を知っているだ。
言って見ろ!
憶測や偏見で物を言うな!!」
と、怒鳴ると
中間の教授が現れて
その医師も注意を受けたが
俺の方は大学に話が行き注意を受けた。

自分は何も間違った事は言っていないが
自分が問題を起こせば
後の後輩にも支障がくる事はわかる。
大学にも迷惑がかかると
だが、母親の事だけは
許せなかった。

こんな偏見がある職域で
働く意義があるのか考えたが
伊織とその母に説得された。
「母さん、ごめん。」
「あなたは、なにも謝る必要ない。
人より一年多く学べるんだと
思いなさい。」
と、母は言ってくれた。

俺は、留年が決まり
伊織や美桜に一年遅れたが
俺は、俺なりに必死に
勉強もバイトも頑張った。

伊織がアメリカに留学してからは
たまに、美桜と食事をしたり
飲みに行ったりした。
< 5 / 83 >

この作品をシェア

pagetop