丸重城の人々~前編~
「あー。俺も蜘蛛の刺青あるぜ」
「え?中也くんも?」
「俺等、元・暴走族だから」
「え…」
「フフ…引いた?」
「いや、別に…」
正直、夏姫は引いていた。
と言うより、柚希がなぜこんな二人と付き合ってるのか、疑問だ。
「げせないって顔だな…?」
「は?」
「色々あんだよ。柚希にだって!
これでわかっただろ?変に関わると、痛い目みるよ!」

「何の話?」
冷蔵庫から帰ってきた、大翔が話に入ってくる。
「いや、別に。てか兄貴、上着ろよ!セクハラだぞ、それ!」
「るせーよ!部屋に戻る!愛しい柚ちゃんが、待ってるからな(笑)!」
「ふん、嫌みな兄貴だな…」
「てか、お前!後でピックケース見せろよ!柚がプレゼントしたやつ」
「なんで?やだ!」
「なんでも!じゃあおやすみー」
「見せねぇよ!バカ兄!」

「なんで、柚希だけ……」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ねぇ柚希」
「ん?何?なっちゃん」
「ちょっと、買い物付き合ってくんない?」
「う、うん」
「大丈夫。あんま時間かけないようにするから」
「わかった、いいよ!」

二人でショッピングへ。
「ねぇこの服どう思う?」
「似合ってるよ!なっちゃん、スタイルいいし!」
「そう?じゃあ買おうかな…?」
今日はあまり人が少なく、柚希も落ち着いている。
「ねぇお茶して帰らない?もちろん奢るから…!」
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