甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「聞いたよ、遥ちゃん。九条と付き合い出したって?」

インフルエンザでお休みしていたクマ先生が出勤してきて早々掛けられた声を、私は慌てて「クマ先生!」と遮る。

特に悠さんとの付き合いを隠そうと思っているわけではないけど、結果的に出会いの場になった現場に一緒に入っていた人達に知られるのは多少の気まずさがあった。

今日の現場は都内にある大学。
とはいえ生徒の健診は先月までに終わっているので、今日は教職員を対象にした健診にやって来た。

忙しい先生たちのために3日間の予定が組まれているけど、1日の受診者数はそう多くはない比較的のんびりした現場だった。

会場の設営を終えて各自受付までゆっくり準備しながら過ごしている所に落ちたクマ先生の話に食いついたのが看護科の織田さんだ。

「え?!九条ってこの前、名取フーズに来てた九条先生ですか?!」
「あ、例のイケメン医師?」

今日の看護科さんは織田さんともう1人、貴船さんという女性。
貴船さんは仲良しの織田さんから話を聞いていたのか、名取フーズの現場にはいなかったものの話題に乗ってきた。

「そうそう。織田ちゃんも会った?イケメンだったでしょう、僕の次くらいに」

にこにこと冗談を言うクマ先生だけど、私はそれどころではない。
織田さんから『さぁ詳しく聞かせてもらおうかなぁ』というオーラがすごい。


< 104 / 188 >

この作品をシェア

pagetop