あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
最終章
悠一さんが東京に行ってから一週間が経った。
思った以上に帰りが遅いことに不安になる。
もちろん連絡を取ろうと思い何度もスマホを取り出した。
だが、私のあさはかな行動で、話がこじれるのはどうかと思い、そのままポケットにスマホをしまうことが何回もあった。
それからさらに二日経ったある日だった。
柊一を祖母に預け、買い物に行った帰りのことだった。
「すみません、奥寺翼さんですか?」
品の良さそうなスーツを着た四十代ぐらいの男性に声をかけられた。
どう見ても島の人間じゃない。
一体誰?
「……そうですが」
男性は胸ポケットから名刺ケースを取り出すと私に差し出した。
「弁護士をしております、加賀見と申します。少しお時間いただけますか?」
「は、はい」
「一目もございますので……」
周りを気にするように車を指すと移動した。
「すみませんが、こちらに乗っていただけますか?」
それは朝倉ホールディングスの社用車だった。
まさか、悠一さんになにかあった?
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