モブで地味子な私を、超イケメン男子が、かまってかまって溺愛中!

第5話「私の夢」

 屋上で成瀬君と一緒の私。
 
 いろいろ話した後、大好きなクリームパンを食べ、無糖(むとう)の缶コーヒーを「くいっ」と飲み、ランチを終える。
 それで昼休みは終わり。
 もう午後の授業である。

 午後さいしょの授業は世界史。
 国語と並び、私が大好きで得意な教科である。

 なぜ? 大好きで、得意な教科なのか?
 成瀬君に話したから、おわかりの通り、何せ、私はアニメとともにラノベ……ライトノベルが大好き。

 今、流行(はやり)のラノベは異世界転生(いせかいてんせい)もの。
 異世界転生とは主人公が違う世界へ転生し、人生をやり直しながら、活躍(かつやく)する様子を描いた作品である。
 そして舞台(ぶたい)は中世ヨーロッパ風が多い。
 
 中世ヨーロッパ風な世界とは、いわゆる某ゲームのように剣と魔法の架空(かくう)の世界。
 イケメンの騎士(きし)様とか、カッコ良い魔法使いがおそろしい魔物とガンガン戦い、大活躍(だいかつやく)する(あこが)れの異世界なのだ。

 お前が中2だから中二病なんだって?
 あはは、それうける。
 マジ笑える。

 これまた、なぜ? こんな事を言うのか。

 実は私には夢がある。
 売れっ子ライトノベル作家になる夢だ。
 自分の書いた作品を書籍化(しょせきか)して、たくさんの人に読んでもらう。
 更にマンガにして貰い、最終目標(さいしゅうもくひょう)はアニメ化なのである。

 でも……現実はきびしい。
 まだまだ私は未熟(みじゅく)だもの。
 もっともっと頑張らないとダメ。
 
 夢は語ってばかりじゃ、かなわない。
 才能ナッシングの私みたいなモブは超頑張らないと!
 
 でも作家を目ざしている目標は、恥ずかしいから、誰にも言わない。
 何本か、作品は書いているけどね。
 
 それに異世界転生ものだけでなく、女子向けの悪役令嬢(あくやくれいじょう)ものなんかも書きたい。
 ちなみに悪役令嬢とは、文字通り、悪役の令嬢。
 おとめゲームにおいて、様々な理由から主人公に敵対し、その行く手をはばむキャラクターである。
 つまり、かたき役のお嬢様(じょうさま)
 でも「正義は必ず勝つ」的な物語のお約束通り、最後には必ず負けてしまう。
 やられ役的ボスキャラである。
 でも最近は、悪役令嬢でも、いろいろなパターンがあってすごくおもしろいのだ。

 さてさて!
 自分の作品をイメージしながら授業を受けていたら、あっという間に終わった。
 次は15分の休憩をはさんで国語の授業。
 やはり夢ありきで前向きに授業を受けると時間がたつのが早い。

 という事で、本日の授業は終了した。
 テンション高いうちに、帰宅して、バリバリ作品を書こう!

 そう決めて帰ろうと思った時、事件は起こったのである。
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