「奈都」

「……さ、五月女社長……」

 大型連休が入ってから3日目の午前。わたしは五月女社長と待ち合わせていた。 正真正銘、デートというヤツだ。
 
 五月女社長にデートに誘われて、わたしは戸惑いながも、行くことに決めたのだ。……本当は行きたくなかったけれど。それでも五月女社長は、「どうしてもデートに来てほしい」と言ってきたのだ。

「辛いのにそんなに強がらなくていい。 俺が君のことを知りたいのは、本当だ。……同情なんかじゃないよ」

 大型連休が始まる前、社長室で彼は、わたしにそう言ってきたのだった。わたしは何も言えなくて、口を閉ざすしかなかったけれど。 そして彼はその言葉の後に、今度はこう言ったのだ。

「俺を愛した男だと思って接すればいい。……俺が奈都の愛した男と同じ顔をしているのなら、とことん俺を利用すればいい」

 わたしはその言葉で、思わず彼を見つめたのだった。……そして彼は、そんなわたしを抱き寄せてそっとキスをしたのだった。