37℃のグラビティ
実際 ――


同じマンションに住んでるとはいえ、あの一件以来「アーヤ」とマンション内で、遭遇した事なんて一度もないし。


同じクラスだって言ったって、一度も話をした事がないどころか、視線すら合った事もない。


「アーヤ」はアタシとの一件を忘れていると言うより……


「まったく記憶にございません」って感じで、(はな)から覚えていないんだと思う。


だけどそれは、こっちとしても好都合。


下手に覚えられていて、みんなの前でイチャモンとか、つけられた日には敵わない。


ここはアタシも大人な対応? で、素知らぬふりをするのがベスト。


何事もなく1ヶ月が過ぎ去った今、アタシはずっと同じ様に、時間は流れていくんだと思っていた。
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