強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
5章 大好きと言えなくて

「おかえり。帰ってたんだな」
「ただいまです。つい先ほど帰ってきて」

 寝室に顔を出すと菜摘は少し焦りながらクローゼットの前から駆け寄ってきた。

 (何か隠した……?)

「ごめんなさい、夕食作れなくて」
「そんなこと気にしなくていい。飯は食べたのか?」
「はい。コンビニのおにぎりとかですませちゃいました。もう忙しくて」

 笑っているがなんだかやつれた顔をしている。
 ここ最近新しい企画の担当になったとかで残業が続いている。残業しそうな時は前もって夕食を仕込んでくれていた。それが今は手が回らないほど忙しいようだ。
 そもそも共働きで残業するからと夕食を用意しておいてくれるなんてできた嫁だなと感心してしまう。
 警察官と言っても内勤が中心のため、時間は規則的なことが多く、家事を手伝うと提案するも彼女は首を縦に振らなかった。俺が料理が不得手なことが原因なのだろうか。

 (体を壊さないか心配だ)

 頭を撫でると彼女は嬉しそうな顔をしていた。この顔が可愛くてつい頭を撫でてしまう。

「そういえば、お姉さんから荷物届いてた。式で使う写真?」
「あ、いえ、違います! 実家に置きっ放しにしてた服が邪魔だからって送られてきたんです! ホント、姉はいつまで実家に寄生する気なんですかね!」

 彼女は一瞬顔を強ばらせたがすぐに顔を緩ませ「お風呂入ってきます」と横を通り過ぎて行った。
 明らかにこの話題をかわされ、怪しげな態度だった。

 (俺に隠し事でもしているのか?)
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