これを愛というなら~SS集~
☆悠馬×桃子☆
まだーーーマリッジには、あの二人の写真が飾られている。


半年経っても俺は、この写真を見ると心の奥がチクりと痛む。

鈴木さんには、いつまでグズグズしてるの!と、言われるし。

今でも料理教室の講師をしてくれていて、料理長の元カノでちょっとあったらしい早織さんには……

早く恋をしなさいね、私も吹っ切れて今は素敵な恋人がいるから幸せよ。

なんて言われる始末。

新しく入社して来た小林さんには……

二人を全く知らない私でも、お似合いで愛し合ってるってわかりますよ。
よくアタックしようと思いましたね、と言われた。

仕方ないと、いつか忘れると思うようにしたんだけど………

ついに鈴木さんにーー…


「見ていてイライラする!明日、遊びに行くわよ!思いっきり騒いで忘れなさい!」


そう、二人だけしか残って居なかった事務所で誘われた。


翌日、リュミエールの最寄り駅まで鈴木さんを迎えに行ってーー…遊びに来た場所は、遊園地。


「大学ん時以来ですよ」


「彼女と来たの?」


「そうですけど……嫉妬ですか?」


からかうように訊くと顔を赤くして、違うわよ!って答えるんだから。

料理長が鈴木さんをからかって、可愛いなって、言っていた気持ちがよくわかった。

本当に嫉妬なのかはわからないけど、顔を赤くして口を尖らせる。

これは、マジで可愛い!


「そうですか……とりあえず楽しみましょうよ!忘れさせてくれるんでしょ?桃子ちゃん?」


小柄で、180㎝ある俺の肩にも及ばない背の鈴木さんを覗き込んで、わざと名前を呼んだら、さらに顔は赤くなる。

可愛い、と呟いていて鈴木さんの手を握っていた。


「名前で呼んだのわざと?二人の時は許してあげる。悠馬くん!」


「はいっ!じゃあ、ついでに俺も普通に話す!」


いいよ、と笑顔になった桃子ちゃんの手を引くと、離そうとするから……

はぐれないように繋いでて、と指を絡めて握り直すと、

今日だけだからねって……見上げて微笑んでくれた顔に、ドキッとしたのは気のせいかな。

叫びたいくらい、可愛いと思っているのは間違いない。

忘れさせて、と甘えているのも確か。


たくさんの遊具を回って、園内のレストランでご飯を食べて。

付いてるよ、とベンチに座ってソフトクリームを食べている時に、指で取ってくれて……その指を舐めた仕草にもドキッとした。


すっごく楽しいね!って、はしゃぐ姿に、俺も楽しくて自然と笑顔になる。


夕方まで楽しんで、夜ご飯を遊園地の側のレストランで食べた後は……まだ帰したくなくなっていた。

この天真爛漫な桃子ちゃんと、二人の時間を過ごしたかったんだ。

だから……

もう少し一緒に居てくれない?
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