再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
仲間でもあり、ライバルでもある稜真。
ぶっきらぼうだけれど優しくて、いつだって麻衣を支えてくれた。
守ってくれた。

一緒に切磋琢磨して仕事をしてきた稜真は、兄のような存在だ。

ちらりと稜真の方を見ると嬉しそうにスーツ姿の男性と名刺を交換している。

「加藤稜真と申します。全力でスタイリングさせていただきます。」
「瀬波理久です。よろしくお願いいたします。」
理久が立ち上がり、稜真と握手をする。

稜真が次は麻衣だと知らせるように、麻衣に視線を送る。
「野川麻衣です。よろしくお願いいたします。」
挨拶をすると理久が困ったように微笑みながら麻衣に手を出す。

麻衣は、ギュッと唇をかみしめながらその手を握った。
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