花の妖精は秘密が多い
私、花園桃(はなぞのもも)の家には秘密がある。周りの人に決して知られてはいけない秘密。どんなことも友達に話せる性格だけど、その秘密だけは口が裂けても言えない。その秘密がバレそうになり、私たち一家は二週間前にこの街に引っ越してきたんだ。

薄いピンクのリボンのついた可愛い制服を着て、お母さんとお父さんに「行ってきます!」と声をかけてから家を出る。

玄関を開ければすぐに視界に花壇が映り、色鮮やかなチューリップやアネモネなどの花たちが綺麗に咲いている。お父さんとお母さんは花が大好きで、私も花が好きだから年中花壇には花が咲いていて華やかだ。まあ私たち一家の場合、花が好きなのは綺麗だからというだけではないんだけど……。

「みんな、行ってくるね!」

私はしゃがみ、花たちに向かって声をかける。どうして花に話しかけるんだって思ったでしょ?それには理由があるんです。

「行ってらっしゃい!」

「今日も頑張ってね」
< 1 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop