見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
三、

和哉さんとの再会から、あっという間に二ヶ月が経とうとしている。

毎日のように和哉さんと電話で話し、休日は彼が私の実家まで訪ねてきてくれるようになった。

好きな時に会いに行ける状態でなくても、和哉さんと繋がっているのを強く感じられているからか、気持ちはとても満ち足りている

一階を一通り掃除機をかけ終えた後、二階へと上がる。自分の部屋に入り、掃除機を持ったまま窓際まで進み、雲行きの怪しい空を見上げた。

先ほど干し終わったばかりの洗濯物のことを考えながら店の駐車場へ視線を下げると、お隣りの虹川さんと箒片手に談笑している母と、その傍らでは勇哉が野花を眺めていた。

勇哉には、和哉さんのことを「勇哉のパパ」だと話してある。

言った瞬間の反応は薄かったけれど、しっかり理解していて、最初は和哉さんがいないところでこっそり「パパ」と、最近は堂々と彼に向かって「パパ!」と呼びかけている。

休日和哉さんがくるとべったりだし、彼が帰ってしまうととても寂しそうだ。

しかし、ここ三週間ほどは、和哉さんは仕事が忙しいようで休日返上で働いているため、会っていない。

私はもちろん、勇哉も寂しいようで「パパ、いつくる?」と繰り返し聞いてきて、そんな愛息子の姿を見るたび、結婚への踏ん切りをつけられない自分が情けなくなる。

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