『椿姫!?
違うよ!そうゆう意味で言ったんじゃないよ!?
こんなに夜遅くは危ないから、俺が行くって━━━』
「もういい!!!」
そこで一方的に通話を切った、椿姫だった。

椿姫は屋敷の中に戻らず、そのまま門の方にゆっくり歩いた。その間、ずっとスマホの着信が鳴りっぱなしだ。きっと琥珀が何度もかけているのだろう。

「あれ?お嬢様?
こんな夜遅くにどうされました?」
庭師が声をかける。
「しかも、そんな薄着で……
風邪引きますよ?
あんまり綺麗じゃないですが、着てください」
そう言って、着ていた上着を椿姫に羽織らせてくれた。
「大丈夫よ。ありがとう。ここで私と会ったことは内緒にしてて!あと、スマホ…持ってて!」
上着とスマホを庭師に渡し門を出ようとする、椿姫。

「え?ちょっと待ってください!まさかお嬢様、外に出るつもりですか?」
「えぇ…みんなには黙ってて!」
「ダメです!もう遅いですし、何よりお嬢様お一人では危ないです!」
「大丈夫よ?私も大人だし…お願い…外に出して?
一人になりたいの……」
「お願いします!そのような危ないことはやめて下さい!もし、何かあったら……」
「嫌!!離して!?」

「椿姫様!」
この騒ぎに、二階堂が駆けつけた。
「あ、二階堂さん!お嬢様が……!」
「椿姫様、屋敷に戻りましょう。今日は冷えますし、危ないですよ」
「二階堂、私を一人にして?
一人になりたいの」
「それはできません。お一人になりたいなら、お部屋でになさってください。
椿姫様がお望みなら、誰も部屋に通しませんから」