王子と姫の狂おしい愛
狂う心
いつものように、狂ったように椿姫の身体を抱く。
琥珀はいつも夢中で、貪るのだ。

ベットのスプリングが軋み、椿姫の甘い声が響く。
「椿姫…今……何考えてる?」
「んぁ…琥珀のこ…と……」
「ほんと…?」
「琥珀のことしか…見え、な…い……よ?」
「なんか…俺とは、違う……
だって…椿姫の意識の中に俺以外の人間がいる…」
琥珀が椿姫の瞳を覗き込んだ。

「誰のこと…?」
「両親や、使用人…寛二のことだって……」
「それは…琥珀だってそうでしょ?」
「俺はね…誰も、何も…いらないんだ。
椿姫がいれば…何も……本気だよ…?」
「琥珀…?」
まるで催眠術のようだった。
椿姫は琥珀から、目が離せなくなる。

「最近…不安なんだ……
本当に椿姫と結婚できるのかなって……
俺が今我慢できてるのは、落ち着いたら結婚できるって思ってるから。
でも、色んな奴が俺達の邪魔をしようとしてる。
そんなの許されない!!
だから……
椿姫を支配する権利ちょうだい…!」

「支…配?
どうして?」

「そんなの………
椿姫は、俺のモノだからだよ!!」

「………なんか…琥珀、怖いよ…」

「椿姫を傷つけることはしないよ……
ただ…許してほしい。
束縛することも、嫉妬に狂うことも……
何があっても、俺から離れないで…
大丈夫。俺の支配は、椿姫を愛してるがゆえになんだから…!」

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