愛の距離がハカレナイ
21
日本で入籍だけを終えて、私は“水島阿里”としてベトナムの地に立つ。

「阿里。」

その声に私は手を振る。

「やっと来たな、奥さん。」

「祐介。」

祐介は私の肩をスッと抱く。

「これ‥。」

私は封筒を差し出した。

祐介は一瞬私の様子を伺ったので、私は優しくうなずく。

「…。」

祐介は便箋から目を離すと、大きな溜息をついた。

「やばい所だったな。あの日、俺が行かなかったら‥。」

「うん。私は幸せ者だね。」

「俺の告白が遅かったら、南川課長を選んでいた?」

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