ーside 湊ー


吉と出るか、凶と出るか。



正直分からなかった。



ただ、このまま星南を1人にしておくことがたまらなく不安だった。



見ず知らずの人と、何度も身体を重ねてきた星南。



家に帰りたくないという理由と、きっとどこかで誰かの愛情を求めていたのかもしれない。




正直、俺の提案に星南が頷くとは思っていなかった。




星南はきっと断ると思ったから。




だけど。



もう限界なんだろうな。



ずっと、誰かに頼りたくて守ってもらいたくて。



その行き場のない思いが、星南の中にあったんだろうな。




ほんの少しだけど、星南の表情は少しずつ穏やかになりつつある。




出会った頃よりもずっと。



俺に着いてきてくれるなら、とりあえず一安心だな。




近くにいてくれれば、星南に何かあった時すぐに助けられる。




目の届く範囲にいてくれれば、安心できる。




まだ完全に俺の事を信じることは出来ないとしても、今はそばにいてくれるだけでいい。



星南は、俺が守る。

「星南?」



「何?」



「星南の家ってどこにあるんだ?」



アパートやマンションに住んでいるなら、大家さんと話して解約すればいい話だけど、一軒家だとしたら色々と手続きが必要だよな?



「ここから1番近い駅の、目の前にあるアパートだよ。」



「そうか。来週あたりに退院になるから、1度家に帰って一緒に荷物をまとめないとな。」



「そう…だね。」



「どうした?何か、心配なことがあるなら…」



「違うの。


ただ、勝手に解約しちゃってもいいのかなって思って。


名義が、多分母親の名前で契約しているから解約できるのかなって思って…。


そういうのって、未成年の私ができることなのかなって思って。」




星南の言う通りかもしれない。



いくら、星南の母親が音沙汰無くなったとしてもアパートの契約者は星南の母親であって、解約するのも星南の母親でないとできないよな。



勝手に星南を置いて行ったとしても、きっと星南の意思では解約は難しいか。



「たしかに、そうかもしれないな…。


そしたら、自分の必要な荷物だけ家に持って行けばいいよ。


とりあえず、アパートの鍵は大家さんに預けた方がいいかもしれないね。」




「うん。そうする。」



不安な表情をした星南は、安心した表情に変わる。



それを心配していたのか。



割と心配性なところがあるんだな。



「可愛い。」



「は?」



口調が少し粗めな所もあるし、強がっているけど本当は繊細で慎重なんだろうな。



そして、色んなことに気づくことが出来る。




自分のことをどうでもいいような口調と、態度をしているけど本当は1番自分の気持ちや身の回りのことに敏感なのかもしれない。




気づいたら星南の唇に自分の唇を重ねていた。



星南の舌に自分の舌を絡めると、星南の体はビクンと反応する。



その反応が可愛くて、今ここで襲いたくなる。



綺麗に潤んでいる瞳が伏せ目がちになり、その表情が高校生とは思えないくらいに色っぽく、たまらなく綺麗だと思う。



星南の白く細い身体を抱きしめ、後ろへ倒れないように支える。



やばいな…



そろそろ、この辺にしないとな…。



本当はこのまま、星南が欲しい。



だけど、ここは病院であって星南の身体も万全な状態ではない。



軽く息が上がった星南は、俺の肩を押し唇を外した。



「ちょっと、ごめん。」



浅い呼吸になる星南の背中をさすった。



完全に俺のせいだ。



「ごめん。星南。後は、退院するまでお預けだな。」



「もう…。どうして手加減っていうものを知らないのよ…」



途切れ途切れになる呼吸の中で、星南の顔はピンク色に色づいていた。



「怒ると発作に繋がるぞ?」



「…湊のせいでしょ!


もう、早く診察に行きなよ!」




「はいはい、分かったから怒るなって。


星南、何かあったらすぐに言えよ。」




「…分かった。」




星南を再び抱き寄せてから、俺は外来へと向かった。