フリードベルク公爵邸には多数の人が集まっていた。

「……たくさんの人がいるね」

 灰色兎のぬいぐるみを手にし、その耳の端をしゃぶりながらフランチェスカ・フリードベルクが言った。

「そうだね。今日はリーゼ達の誕生日だし。五歳の誕生日って特別だもんね」

 リーゼロッテ・フリードベルクは、うんうんとうなずいた。
 リーゼロッテの動きに合わせて、頭の高い位置で二つに分けて結った金色の髪が揺れる。
 リーゼロッテとフランチェスカは、二人並んで窓のところに座って外を眺めているのだが、今日は今までに見たことがないほどたくさんの人がこの屋敷を訪れていた。

「五歳の誕生日だから、神殿に行ってスキルをもらうんだよね?」

 妹のフランチェスカもリーゼロッテに動きを合わせるようにうなずく。リーゼロッテと同じ形に結われた髪が同じようにふわふわと揺れた。
 同じ灰色兎のぬいぐるみを抱え、お揃いのピンクのドレスを着た二人は双子だ。青い色をした目で見つめ合い、くすくすと笑っている二人を見分けるのは至難の業だ。

「お父様は、忙しいのかな」