リーゼの目の前で、神官が祈りを捧げる。地中から溢れていた瘴気が、みるみる姿を消していった。

「……すごいねぇ」

 瘴気を封じるところを見たいというリーゼの要望に応じて、ここまで連れてきてもらったのだが、たしかに神官はすごかった。

「シドがいてくれるから、魔物が出てきてもすぐ退治できて安心ね」
「そうだろ、そうだろ?」

 シドは満足げに全身を膨らませている。顎を思いきり上げて自慢そうにしていたので、顎の下をくすぐってやった。

「では、私はこれで失礼いたします。領主様、お気をつけてお帰りください」

 リーゼの前で、深々と神官が頭を下げる。リーゼは彼に籠を差し出した。

「神官様も気をつけて――ええと、あと、これをどうぞ」

 母が持たせてくれた種は無事に収穫の時期を迎えていて、様々な作物が収穫できるようになっていた。その作物を、神官におすそ分けだ。

「神官が来て浄化したのなら、安心だな。俺は、もう少しこのあたりを調べてから帰るよ」

 一晩、寝ずの番をしていたムラトはちょっぴり眠そうだ。堤防の調査が途中になってしまっていたから、彼が進めてくれるのならありがたい。