誰を?何を?見ているの?

☆☆どうするかな?


どうして、この男が?
と、思うが
あの日の彼とは違っていた。

私は、祖母と私の大好きな人の
お墓に来ていた。
今日は、彼の命日だ。

彼は、青山 遥(あおやま はるか)
私の幼馴染みで恋人で大好きだった人だ。

遥は、19歳で亡くなった。

ずっと一緒だった。
だが、小さいときから
遥は、体が弱く小学校も中学校も
休みがちだった。

高校になり遥と付き合うことに。

遥は、学校には通えないから
通信教育を受けていた。
私なんかより、ずっと頭の良い遥
優しくて、私の事も愛してくれた。

本当に大好きだった。

遥の為に医師を目指した。
遥を治す為に·····
19歳の誕生日には、
遥の体調は悪く
一進一退が続いていた。

「彩葉、俺の体はいなくなっても
俺の心は、彩葉と共にあるよ。
彩葉は、いまから成長していく
子供達を守る先生になって
俺みたいな身体の弱い人を救って。」
と、言って息を引き取った。

遥の両親は、身体の弱い遥を
佐久間の病院に入れて
弟だけを連れて海外に行った。
だから、私はいつも遥のそばにいた。

遥が亡くなって遥の両親は
遥のお墓を放置して
海外に永住した。

私の両親もおじいちゃまも
遥の両親に憤りを感じていたが
おばあちゃまの眠る隣に
遥のお墓を建ててくれた。

遥を失った私は、
生きた屍のようだった。
何にも興味をしめさず
食べず·····眠らず·····に·····

そんな私のそばには
いつも、とも子と凪がいてくれた。

凪が
「遥に頼まれた。」
と、言って手紙を渡してきた。
そこには、
「彩葉、俺との約束破っているね?
だから、凪にこれを渡して貰います。
彩葉! つらい病気をしている
子供達を救って。
俺みたいにならないように。
彩葉なら、出来る。
きっと、できるから···
愛してる。
いつまでも、変わらずに。遥」

泣いて、泣いて、泣いて
また、泣いて。
遥と約束したから
勉強して、勉強して
小児科の医師となった。

遥、あれから6年が過ぎたよ。
私は、頑張ってる?

私の大事な場所を····とも子め。
殴ってやる。

あの男の話しは
だいたい、わかった。

さて、どうしたものか?

遥以外と一緒になるつもりがないから
ずっと、一人できたが·····

「あなたの話しはわかった。
明日、返事をするから待って。
病院に行かないと勤務がわからないから
終わり次第連絡するから
私に、いま電話して。」
と、携帯番号を教えて
折り返しかける。
「これが、私の携帯番号だから。」
と、伝えると
「ありがとうございます。
本当に、勝手なことばかりで
申し訳ありません。」
と、言うから
「それが、わかっていて
頼むんでしょ?」
と、いうと
彼は、苦笑いをしていた。

本当に、どうするかな?
と、思いながら車に乗り込み
とも子に
《 バカっ 》と、LINEをすると
すみませんのスタンプと共に
《 後で。 》と、返信が来ていた。
< 9 / 85 >

この作品をシェア

pagetop