美しき花は罪
シャネルのピアノに酔わされる
今日は日曜日だと言うのに、外はバケツをひっくり返したような土砂降りで出かけることができない。

しかし、ラファエルはこんな天気でも退屈だと感じることはなかった。何故なら、豪邸に恋愛相手であるシャネル・ベルティーユを呼んでいるからである。

シャネルは音楽学校に通っていて、ピアノが得意だ。美しい黒髪を束ね、髪と同じ黒い大きな瞳をしている。

「シャネル、次はどんな曲を弾いてくれるの?」

「そうね……。美しい恋の曲にしましょうか。あなたと私の恋みたいな曲!」

ラファエルは自宅にある音楽ルームでシャネルのピアノの演奏を聴いていた。雨の日はシャネルのピアノを聴いたり、二人で読書をして過ごすことが多い。

シャネルの華奢な指が、鍵盤に触れていく。そのたびにそこから生み出される美しい旋律に、ラファエルは目を閉じて聞き惚れていた。

雨粒が叩きつけられる音など、もうとっくに聞こえなくなっている。それほどシャネルの演奏に夢中になっているのだ。
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