今は秘書の時間ではありません

困らさないでください

「おはようございます!」
私はノックし社長室に入る…が、いない。

まさか…

部屋の主、三浦一樹(みうら いつき)がまさかまだ来ていない?!

慌てて社長室を飛び出し秘書室の室長に声をかけた。

「社長がいません!」

「嘘だろ。あと30分で来客だぞ!」

「いないです!すぐ連絡します!」

私は慌てて携帯にかけるが電源が入っておらず出ない…何度かけても変わらない。

「室長。電源切られてます!」

「くそっ!すぐに副社長に代理で立ってもらうよう伝えてくれ。副社長の予定は即リスケして。」

秘書課の面々が即座に動き出す。

「友永!プライベートの携帯の方は?」

「電源入ってるようですが出ません。音を消してるのかもしれないです。」

「よし、電源切れてないならGPSで検索しろ。」

「はい!」

私たち秘書課は4月から世代交代した新社長のもと再スタートを切ったが当の新社長は全くやる気無し。

どうして世代交代してしまったのか口に出しては言えないがみんなそう思っている。

スケジュールをすっぽかされたのは3回目。
出勤しなかった日もある。
最近朝は来ていたから私たちも少し気が緩んでいた…
まさか朝イチで来客がある日に限って来ないとは。
社長秘書になり4年目。私、友永 紗奈(ともなが さな)は頭を抱えた。
新社長についてから日々頭を悩ませている。
仕事は思う通りに進まず本来の業務とは違うことに長けてきた。

会長についていきたかった…
会長から「息子を頼めるのは君だけだ」と言われつい頷いてしまった。
でも私には荷が重すぎました。
今更ですが室長に代わってもらいたい…。

そうは思うが今となっては誰も代わりたいと思う人なんていない。
はずれくじだもの。
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