「急ではありますが、念には念を入れてこのまま管理入院しましょう」


 志村先生から突然そう告げられたのは、妊娠七ヶ月も終わりを迎えた日の検診だった。


「にゅ、入院って今からですか⁉」

「はい。やはり、これ以上は日常生活を送るのは危険と判断しました。なのですぐにでも入院してください」


 あれから期待していた胎盤が動く気配もなく、いつかはこの日が来るだろうと覚悟はしていたけれど、まさかこんなにも急に入院を言い渡されるとは思わなかった。


「でも、私……入院のための荷物とか一切持ってきてないんですが……」

「荷物はご主人かご家族に持ってきてもらえるように伝えてください。とりあえず藤嶋さんは入院予定の部屋の準備ができ次第、入院棟に移動してくださいね」


 志村先生がそう言った直後、まだ半信半疑でいた私のもとへと看護師さんが車椅子を持ってやってきた。


「はい、どうぞ」

「え……。だ、大丈夫です。私、歩けます」

「ダメですよ〜。今この瞬間から、藤嶋さんは絶対安静ですからね。車椅子に乗ってください。病棟までお連れしますから」


 にこやかだけど絶対的な圧で迫られ、私は断るという選択肢を失った。

 車椅子に乗るのなんて初めてだ。というか、もう歩くのすら危ない状態だったの?なんて、また胸に一抹の不安がよぎる。