君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「それに、聡子さんも、お母さんもきっと安心すると思う」


 母のことを言われて、ここ最近少し元気を取り戻した様子が頭に浮かぶ。

 結婚破棄になってから散々心労をかけてしまった母のことを想えば、久世先生とのこの縁を大切にするべきだ。


「俺も、落合夫婦が結婚と子どもの誕生を楽しみにしているから、そろそろ期待に応えたい。孫を抱けない落合夫妻に、いつか自分の子どもを抱かせてあげたいって思ってる」


 結婚をする理由は人それぞれだ。

 もちろん、自分自身が幸せになることが最大の目的。

 それに、パートナーを幸せにしたい気持ちや、親や大切な人が幸せになることだって大きな理由になる。

 久世先生と一緒になれば、母や落合先生夫妻、もちろん私たちも、みんなが幸せになれる……?


「舞花さんと結婚したら、幸せな家庭になりそうだなって思ってる。だから、考えてもらえないか?」


 再び真剣な眼差しで見つめられ、その目を見つめ返す。


「わかり、ました……」


 たったひと言のその返事をするだけなのに、心臓が内側から叩くように大きく打ち鳴っていた。

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