君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「そうか……聡子さんにとって大事なひとり娘だ。母親の聡子さんだって、簡単に立ち直れる事情じゃない」


 都築さんと食事に行ったあと、一度聡子さんのお店を食事で訪れた。

 そのときは「先生、この間は娘がご馳走様」と普段通りの様子を見せていたけれど、まだ抉れた傷は癒えてないだろう。


「しかし、解離性健忘、か……」

「ええ、恐らく間違いないかと」


 転落事故後しばらく経ってから、聡子さんから病院に連絡があったとき、『娘をみてほしいの!』と、どこか慌てた声でお願いされた。

 一体どうしたのかと思えば、もしかしたら記憶に何か障害が出ているのではないかと言ったのだ。

『男の人と話すのも目を合わせるのもできなかったあの子が、そんなこと嘘みたいに男性と接してて』

 過去の出来事で男性恐怖症となってしまった聡子さんの娘の話は、本人に会う以前から聞いていた。

 だから、都築さんが聡子さんの娘だと繋がって、彼女の男への様子は納得がいった。

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