トップシークレット☆ ~お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる~
 そして、その時のわたしの心には、彼の言葉がジーンと響いていた。
「あと三ヶ月」と悲観するよりも、「あと三ヶ月は父と一緒に過ごせる」と前向きに考えた方が気が楽になる。――なるほど、確かにその通りだと。

 この事実を知って、一番ショックを受けていたのはわたしではなく、父と母だったのだ。でも、すぐに事態が急変するというわけではなく、三ヶ月という猶予(ゆうよ)があった。
 だったら、その三ヶ月という猶予をどう使えばいいか。ただただ悲しみに暮れて泣き暮らすのか、父が悔いを残さないために有効に使うのか。それを、彼はわたしに教えてくれたのだと思う。

 わたしは今でも、彼に感謝している。この言葉のおかげで、わたしも母も、悔いを残すことなく父を天国へと見送ることができたのだから――。
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