君と旅の途中
……穂希?
いつもなら烈火のごとく勢いで反論するはずの穂希が静かで、いぶかし気に思って様子を伺う、と。
「っ……ぇ」
穂希は強張った顔で黙り込んでいて、俺は大きく目を見開いた。
ポカンと開いた口からつい小さな声がこぼれ落ちて、慌てて覆う。
穂希……?
様子が明らかにおかしい穂希に、俺は穂希の肩に手をまわした。
そして、ポンポンと軽く肩を叩き歩くように促しながら、クラスメイトに顔を向けた。
「俺と穂希が付き合ってるなんて、あるわけねぇだろ。くだんねぇ」
そうきっぱり言い切ると、クラスメイトはさも残念そうに息を吐いた。
「そっか……やっぱり幼馴染同士の恋なんて少女漫画だけの話か……」
「いや、まぁ、真澄くんイケメンだし、まだチャンスがあると考えればラッキーか……」
「う~ん……。なんか勝手に噂してうちら悪い事したね……」