導かれて、放れられない
「え?」
「窮屈だろうけど、桔梗はもう裏の世界で俺の恋人だって知れわたってるんだ。だから………」
「わかりました。これ以上、天聖さんの足枷になりたくないので!」
「ごめんね…」
「いえ、謝らないで下さい!」
桔梗は天聖にこれ以上悲しい顔をさせないように、ニコッと微笑んで言ったのだった。


「お疲れ様です。桔梗さん」
仕事終わりに外に出ると、増見が待っていた。
「あ、増見さん。すみません、お待たせして…!」
「いえ…大丈夫ですよ」
微笑む、増見。

「最近、よく笑ってくれますね」
「え?」
「最初はあまり感情を外に出さない人だと思ったんです。嫌われてるのかなって。でも警戒してたんですよね。
でも、そりゃそうですよね……
急に私が現れて、一緒に住み始めたんだから……」
「まぁ…
桔梗さん、帰りましょう」
「はい」
車に移動しようとする二人。

「桔梗ちゃん!いたぁ~」
「え?北林さん…」
そこへ、慶司が現れた。
「へぇーこの人が、迎えの人?
誰?彼氏じゃないってことは、お兄さんとか?」
「違います!
増見さん、帰りましょう」
増見の手を引っ張る、桔梗。

「桔梗ちゃん!俺、簡単には諦めないからね!」
車に向かう桔梗の背中に言い放った、慶司だった。

帰りの車内。
「あの男は誰ですか?」
「あ、今日から入った北林さんって言う社員さんです」
「北林…そうですか……
諦めないとはどうゆうことでしょう?」
「え……?
……気にしないで下さい……!
とゆうか、天聖さんには言わないで下さい…」

「まさか、告白されたんですか?」
「え━━━?」
あからさまに驚いた顔をする桔梗。

「桔梗さんって分かりやすいですね……
大丈夫ですよ、若には言いません。
と言うより、言えません」

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