「よし、後は天聖さんが帰ってくるの待つだけですね」
「はい」
「コーヒー、入れましょうか?」
「では、俺が……」
「え?たまには、増見さんがゆっくりしてください。
ね?ほら、座ってください!」
桔梗が増見の手を持って、ソファに引っ張る。

「………」
増見は心がかなり揺さぶられていた。
桔梗が、天聖のマンションに住み始めてからずっとそうだ。

天聖は本来、あまり笑わない。
感情を殺して過ごしている。
無関心で、冷酷。
裏切り者にも容赦ない。
例外なく、消すのだ。

そんな天聖が桔梗に再会?し、桔梗に対し笑顔を見せ穏やかになっていく。
この一見地味な女に、何があるのか不思議だった。

それが最近になって、わかるようになってきたのだ。
言葉では表現できない、心に温かいものが灯った感覚。

「はい、じゃあ…座っててくださいね!」
「はい…」
パタパタ…とキッチンに戻る、桔梗。

「楽しそうだな」
気づくと、腕を組みドアにもたれた天聖がいた。
「え?天聖さん!?」
「あ、若!お疲れ様です!」
バッと立ち上がる、増見。

「ん。
桔梗、ベット行こうか」
「へ?でも、食事……」
「てか、無理やり連れてくけど……」
「━━━━!!」
あっという間に天聖に抱き上げられた。

「あ、増見」
「はい」
「今日はもういいよ」
天聖は寝室に向かいながら、言ったのだった。

ベットに下ろされ、組み敷かれた桔梗。
桔梗の口唇をなぞる、天聖。
「天聖さん、いつからいたんですか?」
「んー?
コーヒー、入れましょうか?から」
「え?そんな前から…?
なら、もっと早く声かけてくれればよかったのに……」