導かれて、放れられない
狂恋
仕事が終わり、従業員出入口を出る。
「桔梗」
「あ、天聖さん!」
「今日は俺が迎えに来たよ!」
「フフ…嬉しいです!」
満面の笑みで、天聖の元に駆けつける桔梗。

両手を広げて、待っている天聖。
腕の中に収まった。
「なんか幸せだなぁ。
こんな風に抱き締め合えるの」
「はい!」
「帰ろ?」
「はい!」
微笑み合う二人。

「桔梗ちゃん?」
「え……?北林さん?」
「あれ?いつもの人と違う」
「北林って…」
「この人が、彼氏?」
「はい、そうです」
「へぇーこの人が……
桔梗ちゃんの周りはイケメンばっかだね」
まじまじと天聖を見る、慶司。

「北林さん、私達もう帰るのでこれで……
天聖さん、行きましょう?」
「うん、そうだね」
「桔梗ちゃん」
「え?」
「桔梗ちゃんはモテモテだね~!モテ期なのかな~」
「は?」
「いつも来る男性も、桔梗ちゃんに惚れてるみたいだし……」
「え?」
「え?って、桔梗ちゃん気づいてないの?」
「増見さんが私に惚れるわけないです。
それに、天聖さんの前で止めてください!
天聖さん、帰りましょう」
天聖の手を掴み、引っ張る桔梗。
「………」

「桔梗ちゃん、俺は諦めないよ!
やっと逢えたんだから…!」

【やっと、逢えた…】
これは天聖と桔梗の第一声。
桔梗は天聖の手を握りしめていた。
「止めてください……その言葉は言わないで下さい」
「え?」
「それは、私と天聖さんの大切な……」

「もう…いい加減にしろ」
天聖の言葉が響いた。
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