『妊娠三ヶ月ですね──』
 
 産婦人科の先生にそう告げられて、瑞希さんに話すべきか迷いに迷って数日。瑞希さんにどう伝えたらいいのか、いまだ答えは出ずにいた。
 
 杏奈からは『さっさとしろ!』とせっつかれている。でも今更なにを言ったとしても、彼にしてみたらいい迷惑だと思うわけで……。

「でも言わないまま、この子を産んでもいいのかなぁ」
 
 お腹の中で元気に育っている小さな命を、お腹の上からそっと撫でた。
 
 ひとりでも産むことは、もう決めている。シングルマザーになる自信はまだないけれど、お腹の子と一緒に成長していくつもりだ。
 
 実はもうすぐ瑞希さんの誕生日だと、杏奈から聞いた。プレゼントを渡すことを口実に呼びだして話をしたらいい──なんて言われたけれど、やっぱり踏ん切りがつかずにいる。

「こんな弱いママじゃ、ダメだよね」
 
 今は午後の休憩時間で、社屋の屋上にひとりで来ていた。雲ひとつない真っ青な空を見上げると、その広いキャンバスに瑞希さんの顔が浮かぶ。