世界で一番大好きです。
大好き

初めてのお友達



今日もノートを鞄に入れて家を出る。


ただのノートじゃない。


筆談ノートだ。


両親の死をきっかけに声が出なくなってしまった私、花園里菜(ハナゾノリナ)。


きっと、今日もこのノートを使うことはない。


だって私には、友達がいないから...。


感情も薄い私と仲良くなりたい人なんて、この世に存在するのかな...。



「きり〜つ、きょーつけー、れい!」


「「ありがとうございましたー」」



朝の会が終わって、1時間目の授業の準備をする。


みんながグループになって話している間、私は本を読む。


いいなぁ...私もみんなとお話ししたいなぁ...。



「あぁっ! 忘れてた忘れてた! みんな一旦着席ー!」



担任の先生が慌ててそう言い、みんなはそれに従う。


私も本を読むのを辞め、先生の話に耳を傾ける。



「転校生を紹介するー、入ってこーい」



クラスのみんながざわつき出す。


転校生...どんな子かなっ...?


ガラッと勢いよく教室の扉が開くもんだから、クラスはシーンと静まり返る。


もちろん少し怖がりな私は肩を大きく震わせてしまった。
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