【完】夢見るマリアージュ
■4■ *SIDE香* 夢はいつか覚める。

■4■ *SIDE香* 夢はいつか覚める。




オレトツキアッテクレナイダロウカ。一瞬何を言われているのか分からなかった。
秋から冬に変わる丁度季節の変わり目。 北斗さんの瞳に映り、一緒に夢のような時間を過ごした。

北斗さんの隣を歩いていて、恥ずかしくない自分で在りたい。 そう思った矢先に、夢のような告白をされた。


からかっているのだろうか…。その言葉を受けて硬直してしまいながらも彼の顔色を窺うように覗くと、彼は視線を下に落とし気まずそうな顔をしていた。

持っていたグラスの手が僅かに震えているのに気が付いて、嘘ではないのだと初めて実感した。
それでもまだ自分の心が信じていなかった。


嘘でしょう?!
だってあの北斗さんだよ?!

阿久津フーズファクトリーの社長の息子…。つまりは私の勤める会社の将来の社長だ。
背が高くって、端正な顔立ちは生まれ持ったもの。

彼の周りには美しい女性が沢山いる。  やっぱりからかわれているだけだよ。 冷静になって考え込む。

だって私と北斗さん、全然似合っていない。

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