誰かに頭を優しく撫でられている気がする。

時折、羽のような柔らかなものが頬や額に触れているのを感じる。

その感触が気持ちよくてくすぐったくて、ずっとこのままでいたいと願う。

でもその正体が気になって、重い瞼を必死で持ち上げた。


「――藍、起きたか?」


「櫂人、さん?」


ぼんやりした頭で目の前の婚約者の名前を呼ぶ。

綺麗な二重の目が優しく私を覗き込む。


「ああ、おはよう」


私の前髪をそっとかき上げた櫂人さんが額にキスを落とす。

さっきから感じていた、くすぐったさの正体がわかった。


「寝起き姿は初めて見たが、可愛いな。もっと早く見たかった」


寝起き?


頬を緩めた櫂人さんが横向きに寝そべるような体勢で、片手を私の腰に回している。

もう片方の手は器用に私の髪を梳いている。

均整の取れた身体つきに一瞬見惚れる。

彼の裸の胸から伝わる体温が心地よい。


――なんで、裸?


その瞬間、昨夜の出来事が一気に頭の中に蘇った。


そうだ……私、昨日櫂人さんと……!


思い出した途端、羞恥で体中に熱がこもる。

絶対に今、私の顔は真っ赤になっているはずだ。