コンチェルトⅡ ~沙織の章
15

年明けから 廣澤工業に 入社した智之は 

順調に 仕事に 慣れていった。


お父様と紀之の 明るい表情が 沙織を 安心させてくれる。


お祖父様が創業し お父様が 伸ばしてきた会社を 

紀之と智之の 二人で引き継ぐことは お父様の 大きな喜びだった。
 

「智之 覚えが早くて 助かるよ。相当仕事できるよ、智之は。」

紀之が 嬉しそうに言う。
 

「一流商社で 揉まれてきたからね。」

お父様も 満足そうに微笑む。
 

「あの若さで 課長に なっていたんだもの。仕事は できるわよ。」

沙織も 笑顔で答える。


「紀之。相談できる人ができて 良かったな。」

お父様は 優しい目で 紀之を見た。
 

お父様の 言葉を聞いた時 沙織は ハッとした。

自分が 大きな勘違いを していたことに 気付いた。
 












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