奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~



奏は社員と出会うたびに、やけに見つめられることに気が付いた。
奏の方を見ながらグループでヒソヒソと話している女性社員たちの姿もあった。 

女性社員たちが奏のファンクラブを作っていると言われるくらいだが、今朝の反応はどうもおかしい。
スッキリしない気分を抱えたまま副社長室の十五階まで一気にエレベーターで上がると、秘書の守屋が待ち構えていた。

「おはようございます」
「おはよう。今朝は社内の雰囲気が変だが、なにかあったのか?」

部屋に入ってデスクに座ると、奏はまっ先に守屋に聞いてみた。

「こちらのせいかと思われます」

守屋が手にしていたのは経済誌だった。

(昨夜、母のインタビューが載ると言っていたのはこの本か)

比較的硬派の記事が中心の雑誌で、ビジネスマンならたいがい目を通しているものだ。


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