「彩羽?」
「やっぱり堅一くんだよね?」
「あぁ。久しぶりだな~高校卒業からだから、10年振り?」
「うん、ほんとに…!びっくり…!」
「あ、これ!よかったら……
ここのロールケーキ美味しいって有名みたいだから」
「ロールケーキだ!」
「よかった…喜んでもらえて!」

彩羽は食べることが大好きで、唯一の趣味だ。
もらったケーキの箱を抱え込んだ。

「美味しいそ~
魁聖が帰ってきてから一緒に食べるね!」
「魁聖って……」
「あ、ごめん。旦那さん」
「彩羽、結婚したんだ……
じゃあ、専業主婦?」
「うん」
「そっか…今度、旦那にも会わせてよ!どんな奴か会ってみたい!元彼としては…(笑)」
「え?そんな…」
「結婚したってことは、あの事も知ってるんだよな…?」
「え?」
「だから…その…お前の背中の……」
「あ、うん…大丈夫だよ」
「そっか…」
「心配してくれてありがとう!」

そして、魁聖が帰ってきた。
エレベーターに乗り込もうとした魁聖。
「あ、すみません!乗ります!」
堅一が駆け込んでくる。
「………」
魁聖は無言で、エレベーターの奥に行く。

「何階ですか?」
「一番上」
堅一の言葉にそっけなく答えた、魁聖。
「え!?じゃあ…もしかして……」
「は?」
驚く堅一と、鋭い目付きで睨み付ける魁聖。

「彩羽の…?」
「は!?彩羽?なんでお前、彩羽の名前知ってんだよ!?」
魁聖はあまりの驚愕に堅一に掴みかかった。

「今日の昼挨拶に行ったら、久しぶりに会ったから。
彩羽は、高校の時付き合ってた彼女なんだ」