望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
第5話
「優弥さん……」
つい言葉が零れ落ちていた。恭子もそのまま視線がはずせないようで「どうして」とつぶやく。

しかし、次の瞬間ハッとしたように私に笑顔を向けた。
「医者同士知り合いでもおかしくないわよね。望月先生は櫻町とあのバカ男のこと知らないだろうし」

確かに私と優弥さんのことを知っているのは、恭子だけだ。
いつも飄々としている恭子だが、言わないでと言った事は絶対に言わないという信頼がある。

だから、望月先生が彼と一緒にいても仕事の話だと思いたい。
でも……。

わざわざこんな仕事外に会わなければいけない理由は何なのだろう。
まったく分野も違う二人だ。
思い出したくなくて優弥さんを見たくはないが、私は視線が外せない。

それに二人は決して友好的な感じがしないのだ。ジッと望月君が彼に冷たい視線を向けている気がする。
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