粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<加賀城との遭遇・11時10分>

加賀城の声は弱弱しく、語尾がかすれている。

このまま、この人が自力で誰かと連絡をつけるのは無理っぽい
様子を見るのはだめだ。

ミイヤは判断した。

先生をやっていた時・・・
自分のクラスで、具合の悪い生徒が出た時の事。

早退させようとしたが、
迎えの保護者が、なかなか来てくれなくて、
待たせている生徒の病状が、
悪化してしまった。

あの時は
すぐに病院に連れて行くべきだった。
その後、管理職とその保護者から、ものすごく怒られた。

「救急車?いや夜間救急・か・・」
すぐにネットで検索して、
夜間の対応する医療機関を探した。

ミイヤは机にうつぶせになっている加賀城に、
視線をあわせるように、しゃがんで言った。

「熱高いので、インフルエンザかもしれません。
病院探して行きます。」

ミイヤはすぐに、一番近場で夜間救急の病院に電話をして、
受け入れてくれるか確認した。

それにタクシーも、呼ばなくてはならない。
「加賀城さん!
しんどいかもしれないけど、
すぐ病院行きますから・・」

ミイヤはバックに財布を入れ、
ぐったりした加賀城の腕をつかんで外に出た。

雨が激しくなっている。
雨の筋が絶え間なく、冷気を切り裂くように走る。

その奥にハザードライトが、
点滅しているのが見える。
ミイヤは手を振って合図をした。

マンションの玄関口にタクシーが
待っていてくれていた。
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