【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
第六章 契約結婚の相手を本気で好きになるっておかしいですか?!
第六章 契約結婚の相手を本気で好きになるっておかしいですか?!
「市ヶ谷さん、和菓子の方の補充しておいてくれたのね。ありがとうね」
「いえいえ全然大丈夫です。洋菓子の品出ししておきますね」
「本当に市ヶ谷さんが来てくれて助かるわ。 接客も感じがいいし、ミスもしないしね。
接客が初めてだとは思えないわ」
「えへへ。今まで事務の仕事しかした事なかったんですけど、接客ってすごく楽しいですね。 性に合ってる気がします」
「市ヶ谷さんは真面目に働いてくれているのに、蛯原さんはねぇ…」
パートのおばちゃんがちらりとレジの方を見つめる。
キャハハ、と甲高い桃菜の笑い声が店内に響く。 男性社員の腕を軽く小突きながら、何やら楽しそうに喋っている。
お店は開店中で、平日の午前中だがまばらにお客さんもいる。