エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「これらはキッチンとここ、リビングに仕掛けられていたものです」

 彼の説明に、父は両手を頭にあてて深いため息をつく。

「真佳奈、領事宅に仕掛けるとは由々しき問題だよ」

「家に侵入されていたってこと……?」

「警備員に確認した際、二カ月前にエアコン業者が入っていたので、おそらくそのときにやられたんでしょう」

 月城さんは仕掛けられた時期まで突き止めていた。

「探知機を使っていないのでまだあるかもしれません」

「お父さん、ごめんなさい。きっとハーキム氏だわ。こんな犯罪行為までされているとは思っていなかった」

「真佳奈が悪いんじゃない。幸い、家で職務内容に関しては話していないからよかったよ」

 父は家ではそう言った話はしないから、日本領事館についての情報漏洩はないだろう。それは安堵するが、勝手に日常会話を聞いていたなんて、本当にひどい行いだ。

「食事後、君の部屋を確認させてください」

「エアコン業者が入った日、私は終わるまで部屋にいたので大丈夫かと……」

「真佳奈、月城くんに確認してもらいなさい」
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