暴君王子の恋の瞳に、私は映らない




私は、部屋の奥のカーテンレールに

濡れたセーラー服を吊るし



部屋を出る前に
鞭光君が用意してくれた、除湿機の風を

制服に当てる。





除湿機さん、お願い!


私の制服、秒で乾かして!



1秒でも早く
不釣り合いな服を、脱ぎたいから!!






恥ずかしさで、身勝手に上がる体温。



短いスカートのせいで

半分あらわな太ももが、スースーする。





少しでも太ももを隠したくて


スカートの裾を伸ばしながら

部屋のど真ん中に、座り込んだと同時。



「着替え、終わった?」



ドア越しに、弾む声が聞こえてきた。





着替えは、終わったけれど……



こんな無様な姿

誰にも見られたくないのに……




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