その夜。
リビングのソファで今日の出来事を話すと、アレックスは

「いい人だね、篠田さん」

と言ってくれた。

「うん」

「でもさ、日本では弁護士ってエリートなんだろ? 特に海外留学までするとなると、相当だって聞いたことがある」

「そうみたいだね」

アレックスは気まずそうに口をつぐんだ。

「心配してるの?」

「うん……ちょっと身分違いな感じはするよな」

……言われてしまった。

実は私も少し引っかかっていた。

私はそんなに美人というわけでなく、スタイルも普通。
エリート弁護士が一目惚れして恋に落ちるには、ちょっと、役不足感がある。

「どうしよう。篠田さん、久しぶりに日本人女性と――しかも美術館と美容室で偶然二回も――会ったから、ふわふわっと恋に落ちた気分になっただけだったりして」

アレックスは口を付けていた瓶ビールを吹き出した。
この国では、小さい瓶ビールをそのまま飲むことが多い。