さて、翌週の休業日。

篠田さんと初めてMETで会ってからちょうど一週間後。
私たちは「アイリス」の前で待ち合わせた。

ニューヨークに来てから誰かとお付き合いしたことはなく、実に久々のデートだ。

何を着るか、一時間迷った。
アレックスにも聞いてみたが、彼は彼でデートの約束があり、

「大丈夫。希和は何着てもかわいい。いつものようにカジュアルでいけば」

……随分適当な扱いだ。

そんなわけで私の服装は――小花柄のラップワンピースに白いカーディガン、そして同じく白いスニーカー。
METは広い。
下手にヒールなんて履いたら足が疲れる。

それにニューヨークは、東京ほどヒール率は高くない。
なぜかビーサンで街を歩いている人はすごく多いが。
職場で履き替えるのだろう、スーツ姿のOLさんでもビーサンの人はけっこういる。

待ち合わせ場所に行くと篠田さんはもう来ていて、私を見ると、安心したような笑顔を見せた。

「ごめんなさい、待たせてしまって」

「いや、まだ待ち合わせには早い。急にお店で誘って大丈夫だったかなと心配になって――来てくれてよかった。ありがとう」

意外な言葉だった。

篠田さんは寡黙で自信がありそうなタイプに見えていたが――心配していた?

「あって間もない女性(ひと)を誘うって、僕はしたことないんだけど――」

言い訳がましく話し続ける篠田さんの姿は、とても意外だった。
もしかしてこの間、来店した時は。

「他の店員さんもいるし、すごく照れてしまって。かっこいい男性店員さんがチラチラ斉藤さんのこと見てるし。そんなこんなで、僕は元からそんなに話す方ではないんだけど、不愛想になっちゃって、すみませんでした」

ほぼ一気に一人語り。

篠田さんは、意外性があっておもしろい。

背が高くて整った顔立ち、髪型も(この間私が切ったから)とても素敵なのに、自分の素敵さにあまり気付いていない感じだ。

私、すごく好きになるかも。この人のこと――。