期間限定マリアージュ~四年越しの旦那様はエリート社長、誓いのキスが子作りの合図~
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五月の汗ばむ陽気の中。
林立する都心のオフィス街をリクルートスーツで駆け抜けていく。
汗で額に貼り付けた前髪を掻き上げ、目的の本社ビルの前で足を止めた。
ようやく辿り付いた、最終面接。

大手商事会社『帝和商事』の傘下に属する生活関連商品、食品分野を分離独立させた系列会社『帝商フーズ』の最終面接にこぎ着けた。

『帝商フーズ』は独自のルートで輸入食品やワイン、国内のレアな食品を扱ったセレクトショップ『セボン』を成功させ、小売り分野でも成功を収めた会社。

代表取締役の神戸浩明(カンベヒロアキ)さんは今年三十七歳と言う若手の敏腕社長。
彼が『セボン』の産み親らしい。
某経済誌に載った彼の写真を拝見。
私とは十三歳の歳の差はあるけど、その歳の差が何とも言えない包容力を醸し出していた。
知的な黒い瞳に緋色のシムレスフレームの眼鏡を着け、鼻筋の通った整った顔立ち。少し長めの黒い前髪を流すようにセット。
長身で彼のスタイルに誂えた三つ揃いスーツ。
仕事に対しての意欲、情熱を知り、彼の会社で絶対に働きたいと感じた。
そして、本日…彼との一対一の面接に望む。

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