平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「そもそもリズさんに傷一つでもあつたら、わたくしはお前をボコッておりましたわ。花嫁ですもの。一生に一度の結婚式っ、怪我があったらどうするの!」

「俺も一生に一度の結婚式の主役ですよ」

「結婚がだめになって、第二の妻を娶ったりしたら許しませんからねっ」

「母上は、俺に随分信用がないらしい。こんなにもリズを愛しているのに」

「笑顔が嘘臭いのです! これまでの親不幸を反省なさい!」

手厳しい意見がアリスティアの口から放たれる。

どちらも美麗。どことなく目元が似てもいる母と子が、睨み顔と極寒の笑顔で牽制し合う。

「あー……皆さん、とりあえず中へ」

ヴィクトルが、別邸の主らしくそう促した。

魔女という世紀の大事件もあって、獣騎士団も参考人として呼ばれたりと慌ただしかった。魔法を破ったのち、魔女はまたたくまに共に消えてしまった――とジェドに口裏を合わせる形で、事件の記録はシメられることになった。

結婚前だというのに、なんとも落ち着かない日々だ。

けれどそれもグレイソン伯爵の結婚らしいと、誰もが笑ってリズの結婚を祝福し、活躍をほめたたえて見守ってくれていた。



そして、とうとう結婚式の当日を迎えた。

魔女事件のことなんてすっかりどうでもよくなり、王都中がお祝いムードで大々的にお祭りを開催していた。

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