◎ファンシーな街宣車

 『赤旗まつり』や党幹部の演説会など、日本共産党関係の集会に必ず付物なのが、右翼団体による妨害街宣だ。そんな訳で、共産党の集まりは、その支持者や、政治・社会について真面目に考えている人(支持・不支持に拘らず、政治団体の集会に参加する意思のある人というのは、その人なりに政治・社会の事を真面目に考え、知る努力をしている人である言える)だけでなく、「國粋趣味者」にとっても一大イヴェントなのである。

 1998年10月24日、岡山市内にて『岡山赤旗まつり』が挙行された。岡山という所は、田舎にも拘らず何故か街宣右翼が活発で、平時でも大音量で軍歌を流しながら走り回る街宣車を散見する。そして岡山で左派政党関係の催しがある時は、各地から集結した街宣車軍団による妨害も、更に熱を帯びるのだ。

 バス用車両を分厚く装甲し、巨大スピーカーを何台も積んだ重装備の街宣車軍団が、

「日本~共産~党をぉ~っ、粉~砕ぃ~せよぉ~っ!!!」

「日本~共産~党はぁ~っ、日っ本~からぁ~っ、出ぇ~てぇ~行ぃ~けぇ~っ!!!」

「共っ産っ党っっ!!!粉っ砕っっ!!!」

などと、決まり文句を只管大音量で絶叫し続ける姿は、迫力があると同時に、滑稽だったりもする。

 その中に、珍妙なデザインの街宣車を発見した。『大日本維新党岡山県本部』なる団体の物で、他の一般的な右翼街宣車と同様の改造バスながら、機動隊車輌のように赤色灯を載せ、スカイブルーのボディにメタリックイエローで「政治結社 大日本維新党」の巨大な筆文字、更にその横には『キティちゃん』(著作権処理は大丈夫なのか!?)のイラストを描いた、右翼には似つかわしくない、何とも派手で、尚且つ何処となくファンシーさを感じる街宣車であった。

 右翼の街宣車といえば、艶消しの黒や國防色(カーキ色)など威圧的なカラーが基本で、敢えて大人し目にする場合でも、白(「日の丸」「旭日」っぽく見せる為に、赤のワンポイントが入る場合も有り)が御決まりのパターンであった為、此のデザインは衝撃的だった。此んなデザインの街宣車から、どんなに威圧的な台詞を大音量で絶叫された所で、聞く方は最早爆笑する以外に無かった。

 「恐い」「カルトっぽい」「訳分かんない」というイメージが強い右翼だが、此の「ファンシーな街宣車」は、右翼に「親近感」を覚えてもらいたいという、敵対する日本共産党と同様の「ソフト化路線」を感じた。敢えてピエロ役を買って出ることで、恐さの中にも笑いを齎した『大日本維新党』を「行動する『國粋趣味者』」と呼びたい。

(追記)
 その後、沖縄にある関連団体の摘発を受け、団体名から「大」を取って『日本維新党』に改称。同じ岡山県内に『岡山県本部』と『総本部』が併存し、街宣車は総て岡山ナンバーだという。
軍歌に限らずモーニング娘。の曲まで流していた『キティちゃん街宣車』は1台限りで終わり、河川敷に打ち捨てられて朽ちたらしい。


◎岡山刑務所糾弾活動

(注:旧字体を含んでいる為、読み難いですが御了承下さい。)

 壱千九百九拾九年参月弐拾五日、岡山刑務所に勾留中の知人を激励するため街宣車で乗りつけた、指定暴力団二代目侠道会井出組幹部で、愛媛の右翼団体『皇国憲政党』の総裁が、刑務所職員に所内で組み伏せられ、急死する事案が起きた。街宣車の路上駐車を巡る口論が発端で、死因は窒息死。当初は「入れ歯が外れ咽に詰まった」と発表されたが、後に「取り押さえた際胸を圧迫された」に変更された。其の日以来、多数の街宣右翼が「糾弾活動」と称し、岡山に全国から集結した。

 壱週間後の参拾壱日、此の日も糾弾行動が行われるとの情報を聞きつけ、岡山刑務所に向かった。行く途中何拾台もの街宣車を見かけた。どの車も一様に御経のテープを流している。どうやら死亡した憲政党総裁への供養の意味らしい。

 刑務所に近づくと、鋭い目つきの機動隊、警官、公安等が周辺警備を固めていた。無関係で後ろめたい事は一切無い私も、其の異様な雰囲気に緊張してしまう。本当は正門前まで行きたかったが、警察関係とは揉め事を起こしたく無いし、面が割れたり色々聞かれたりするのも嫌なので、散歩を装って遠巻きに観察するのが精一杯であった。

 私が現地に着いた壱拾壱時頃には、警備は物々しかったが、街宣車の台数は未だそんなに多くなかった。そこで、先ずは周辺をグルグル回り地理を把握、見通しの良い場所を確認した後、壱拾弐時頃コンビニやレストランで腹拵え&観察。特攻服にサングラスの男達が、威圧的な雰囲気で買い物や食事をしていた。

 昼過ぎ頃から、街宣車が続々と集結した。北は北陸から南は九州まで、あらゆる団体が押し寄せてくる。『皇国憲政党』が所属した『西日本獅子の会』の代表で、竹下登に対する「褒め殺し」で一躍有名に為った宅見組系の『日本皇民党』。元総裁の没後四散した『大日本愛国党』の残党を名乗る者。自民党とも関係深い指定暴力団『稲川会』傘下の『大行社』。石原慎太郎と尖閣問題で連携する一方「ニセ有栖川宮」を名誉総裁に戴いて失笑を買った指定暴力団『住吉会』直系の『日本青年社』。長崎市長射殺未遂事件を起こした『正氣塾』。キティちゃん街宣車で有名な『大日本維新党』。同じく桃太郎イラスト街宣車の『大和塾総本部』。其の他数え切れない程(後日新聞で調べると六拾台前後)の街宣車が見られた。総て任侠団体直系の所謂街宣右翼、警察用語では右翼標榜暴力団である。

 それにしても「糾弾活動」の醜悪は、目に余る物であった。巨大な改造バスで公道を真横に塞ぎ、大音量スピーカーで「どかんかっ!こらぁっ!轢き殺すぞっ!」と一般車両や通行人に怒鳴り散らし、耳を劈く程の音量で御経・軍歌・突撃喇叭を撒き散らし、抗議内容も「刑務所長○○は左遷を繰り返し、家庭でも相手にされず、不倫迄している不道徳極まる奴で…」と、胡散臭さ極まる個人攻撃に終始。一体何の為の「糾弾活動」なのであろうか?

 当事件の問題は飽くまで「密室犯罪の隠蔽を図った官憲体質」の筈だ。然し彼等は任侠団体的な恫喝を繰り返し、市街では騒音公害のみならず交通渋滞を惹起して、一般市民の日常生活に迷惑を掛けるばかり。

 此から何れだけ「糾弾活動」がヒートアップするのか、國粋趣味者として密かに期待していた部分もあったのだが、統一地方選挙が四月初旬に始まるや、摘発を恐れて全団体が一斉に沈黙してしまった。それどころか、自ら選挙に出て官憲の不当を訴える者も誰一人現われず、選挙後に活動再開する団体も無かった。何とも拍子抜けで、尻窄みに彼らの「抗議」は幕を閉じたのである。

(後日談)
 法務省矯正局は、憲政党総裁の変死に際し岡山刑務所職員側の非を認め、裁判外で「弔慰金」六千万円を遺族に即日支払い、強引に幕引きを図った。権力犯罪の閉鎖性を露したと同時に、右翼団体の発言権を強める隙を与えた「汚点」とも言える事件であった。

(余談)
 刑務所周辺では、街宣車以外にも面白い物を発見。先ずは、地域自治会掲示板に貼って在った『思想新聞』号外。内容は「御家芸」とも言える日本共産党(通称「代々木」)批判だった。此の新聞が、世界基督教統一神靈教會(通称「統一協会」)と表裏一体の反共組織『国際勝共連合』機関紙である事は周知の事実で、其んな物が公共の掲示板に堂々と貼られて居るのは、大問題ではないか。

 御次は『極東新聞社』。岡山地域限定の右翼系新聞社だったが、事務所に人の気配は無かった。後で調べてみると九十六年以降休刊と為って居たらしい。う~む、一度読んでみたかった。

 最後は『大日本旭日社』。土建会社兼右翼団体で、代表者には衆院選の出馬歴がある。本社屋上に鳥居と祭壇が有るのは御愛嬌か。自民党の金権腐敗を糾弾して居たにも拘わらず、何故か「自民党支部掲示板」と、某国会議員後援会連絡所の看板が…。保守政党と任侠右翼は、矢張切っても切れない関係なのであろうか。その後創業社長の引退に伴い、弐千七年末で解散した。

(注:個人名は伏せてあります)


◎岡山右翼・街宣車事情

(注:旧字体を含んでいる為、読み難いですが御了承下さい。)

 岡山といふ處は、だういふ訳か街宣車が非常に多い。縣南部工業地帶の發展に對し戰前朝鮮から勞働力が多く流入定着為た亊、戰後は仁侠團軆の抗爭中心地たる兵庫と廣島に挟まれながら、兩縣に比べ岡山縣警の取締が甘く侠客のシェルタア化為た亊、行政當局が左翼運動や同和問題の解決に任侠右翼の手を借りた亊等が増長の原因とも言はれてゐるが、何れも定かではない。

 その岡山で改造大型観光バスを聯ねて街宣為るのは、大抵『西日本獅子の會』(竹下登の譽め殺しで有名な『日本皇民党』が束ねる、任侠右翼の聯合組織。香川に本部を置く)の加盟團體だ。

 『ジャングル大帝』の主人公レオの横顔(『西武ライオンズ』のペットマアクと同一)を遇った「レオ街宣車」(白が基調)の『神皇同志会』、「キティちゃん街宣車」(青ラメ)の『大日本維新党岡山県本部』、「桃太郎街宣車」(國防色)の『大和塾総本部』等、ソフト化路線團軆も『西日本獅子の會』所属で、軍歌若しくは「君が代」を垂れ流す丈の、街宣右翼の典型的な活動形態に準ずる。

 黒塗りの大型バスに「英」の一字を描く政治結社『英志會』『狼党(狼連合)』『民政同友會』『社会悪を摘発し市民社会を守る会(摘発青年行動隊、通稱:摘発)』等は、『四代目山健組』最高顧問妹尾英幸氏の名を冠す物で、菊花章に「英」の代紋を掲げる任侠團體(玄關には監視カメラ有)の組亊務所に常置為る。反共聯合『大日本平和会』由來の傳統を誇り、逸早く公式サイトを開設為る等(當局の壓力で何れも直ぐ閉鎖)一頃は相当隆盛で、民亊介入や公共亊業の入札妨害等も行ってゐたと言ふ。

 關西各地の暴走族を傘下に置く『全国天祐連合会(天祐同志會○○支部)』は、喜多郎氏作曲の『シルクロオド』主題曲をBGMに演説テエプを流す。此は喜多郎氏の御連れ合いが、本邦最大の任侠組織『山口組』三代目の實娘で在る亊に便乗為た物で、固より堅氣の御本人は甚だ迷惑為て居られると傳へ聞く。此處の各支部の街宣車はワゴンかマイクロバスと言った中小型が殆どで、壱臺しか無い大型観光バスは必要に應じて關聯團軆間で融通為てゐるらしい。

 『大日本愛國黨西日本總本部』(旧稱:岡山縣支部)もバスではなく、ジイプ型若しくはRVを改造為た小型街宣車を主に用ゐた。赤尾敏元衆議院議員の創始に成る由緒正しき「純正右翼」の姿と大きく異なるのも道理で、福島・岡山・福岡以下各地の侠客に依る「支部」は『大日本愛国党』の押し掛け弟子のやうな形で、昭和末期の混亂に乗じて半ば勝手に「愛国党」を名乗ってゐた為、特に岡山等は繁體字で『大日本愛國黨』と表記し、同じ「ダイニツポンアイクワクタウ」でも東京の本部とは微妙に別團軆だと為てゐた。從って生前赤尾総裁が固く禁じて居られた軍歌も構はず垂れ流し、女聲に拠る演説テエプを回し、稀にマイクを握り生でアジテエシヨンも敢行為た(但し車中から絶對に出て來ぬ)。八拾年代には選擧にも出て、革新政黨の候補者の妨害に狂奔為たが、其頃は黒いワゴン車だったと言ふ。亊務所は任侠團體(矢張玄關に監視カメラ付)と兼用で、後に『大日本愛国党』から改めて絶縁處分を受け、餘儀無く看板を下ろすに至った。

 軍歌を垂れ流し町中を練り歩く丈の街宣車が多い中で、唯一定期的に辯士が驛前で辻立ち為るのは、全國組織の政治結社『大行社』で在る。自らを「武士道精神を貫く皇道維新派」と名乗るが、正體は自民黨を始めと為る保守反動政黨と非常に深い關係に在り、元衆議院豫算委員長濱田幸一氏も在籍為た任侠團體『稲川会』なのは周知だ。街頭演説前后には「社歌」と思しき決まった曲を流為て告知し、続いて「君が代」を合唱し乍ら架臺に「日の丸」を立て、其て第一聲に「我々は道路交通法及び公安條例に基づき…。」と述べ、当該活動の「合法性」を念押し為る、一聯の儀式を必ず執り行ふ。内容は拉致問題、自主憲法、教育勅語復活等で、演説中は制服の社員が無言で大擧整列し、極めて威圧的な雰囲気を醸し出す。街宣車は目にも鮮やかな空色。

 同じく全國的任侠團體『住吉会』傘下の『日本青年社』岡山支部は、主に縣北部で活動し、銀色の改造バスから軍歌をBGMに演説テエプを流為てゐるが、此處での勢力は餘り強く無い。彼の「ニセ有栖川宮識仁殿下」が一時名譽総裁を務め、隣の廣島支部の祝典にも幾度か御臨席遊ば為れてゐたので、道中來岡も為れた筈と思ふ。

 『二代目松浦組』系の『大日本新政會岡山縣本部』は倉敷に本拠を構え、構成員の山磨豊氏は倉敷市長選に出馬經驗が有る。總會屋活動にも熱心で、鼠色の改造大型観光バスから實録ヤクザ映畫『仁義なき戦い』の主題曲を流為ながら、繁華街を走り回る。若い女性が辿々しい口調で吹き込んだ演説テエプ(内容は倉敷市政非難、朝鮮民主主義人民共和國及び中華人民共和國非難、占領憲法破棄、國軍創設、教育正常化、竹島奪還等)を流す場合も有る。

 蹴球選手中田英寿氏が國際試合で「君が代」を歌はなかった亊に憤慨し、日本蹴球協會に殴り込んだ亊で有名な『日本同盟』は老舗『護國團』の分派で、縣本部代表は「日本太郎」の通名で衆院選にも立候補為た。街宣車は黒塗りバス若しくは「日の丸」入りの白いRVで、乳母車を押し歩く若い親に對し「御子樣連れの方には大變御迷惑を御掛け致為て居ります!」と大音量で叫んだり、茶目っ気も見せてゐた。

 變った處では『福祉団体生活環境を守る会』『自然環境を守る会』等と稱す一聯の街宣車が在る。菊花章の中に「福祉」と書いた、自民黨章に良く似た紋章を使ふ。福祉團體と言う割に他の任侠右翼と遣る亊は全く同じで、黒い改造観光バスから軍歌を垂れ流し回る丈に過ぎぬが、希に若手を扱き使ひ、取って付けたやうな驛前掃除を實施し、以って之を社會貢献活動と為てゐるやうだ。任侠團軆系の産業廃棄物處理業者が、近年設立の容易な「環境NGO・NPO標榜總會屋」に成る場合も少なくなく、警察廳も註意を呼び掛け監視取締を強化為てゐる。

 『維新政党・新風』の街宣車は九拾八年の参院選の折見た切りだが、普通の輕自働車に拡聲器を載せた丈の簡素な選擧カアだった。機関紙「新風」は『古本ハウス』と言ふ古書店に置いて在る。此處は右翼活動家の經營らしく、『一水会』機關紙「レコンキスタ」、地元右翼團體の機關紙「愛國通信」も取揃へてゐる。然し都會の大書肆では大抵見掛ける『大行社』機關誌「大吼」は、『山口組』の縄張(シマ)たる岡山の書店では見當らぬ。縣内で政治團體・結社の機關紙誌類を在架為る書店を御存知の方の御聨絡を乞ふ。

 財界系右翼『日本會議』は、年壱度「全國キヤラバン」と稱し街宣活動に來岡為る。街宣車は自民黨の選擧カアの中古の樣な感じで、提供企業の名は表に出さず、現職議員の政治資金宴會を兼ねた有料の時局講演會が主體だ。人脈的には『日本青年協議会(旧稱:反憲法学生連絡会議)』『日本政策研究センター』『新しい歴史教科書を作る会』等と殆ど重複為るが、彼等が蛇蠍の如く忌み嫌ふ左翼勢と同樣、セクト化・カルト化に由る内ゲバが絶へない。

 大韓民國の謀略機関KCIA(日本の公安調査廳に當る)と極めて緊密な關係を持ってゐた、擬似反共宗教右翼『世界基督教統一神靈教會』(統一教會)の政治組織たる『國際勝共聯合』は、自前の街宣車も無く、表立った活動は基本的に為無い。然し莫大な資金力と組織力を擁し、國會議員の後援會等を介して政財界に信者を送り込み、保守反動政黨の幹部を傘下組織の役員・會員に聯ねる等為て、政治を内側からコントロオル為てゐる。『日本共産党』に大打撃を與へた違法謀略怪文書を、『創価学会』『生長の家』『幸福の科学』等の宗教右翼勢と結託為て、大量に作成為散撒いた亊も有る。嘗ては「一日一善」の笹川良一名譽會長が「顔」だったが、安倍晋三政権以降はネトウヨ時流に乗り地方議會への浸透も著しく、勞働組合殲滅を掲げる『大阪維新の会』にも早速接近し、配下の幹部信者を市区長と為るに成功為てゐる。但し本國の統一教會は、現在最も尖鋭的な親北團軆に豹變し、北朝鮮國内での合辯亊業も盛んに行って『金王朝』體制維持に躍起なのだから、自己矛盾も甚しい。

 少々本章の趣旨から外れるが、岡山では聯日聯夜風俗店やパチンコ屋の街宣車が街中を走り回り、其を見ぬ日は無い。然し乍ら、此は「性」風俗店が條例で禁止(他縣では長野のみ)為れてゐる岡山独特の物で(ミリオン出版『ダークサイドJapan』での松澤呉一氏の記述に拠る)、「性」抜きとは云え此の手の地下産業が街宣車を用ゐて大々的に日中から宣傳活動を行ふ亊は、倫理上も教育上も問題が多いと思はれるが、現段階で之を規制為る方法は無いらしい。

 五月蠅く垂れ流為れる「君が代」や軍歌に耳を塞ぎ、風俗産業の街宣を鬱陶しく思い乍らも、街宣車・街頭演説マニアの私は今日も其を求め、街をぶらつくので或る。


何故「しょむ系」に注目するか?~あとがきに代えて~

 さて、「政治に無関心な人でも楽しめる、笑いの取れる政治サイトは作れんもんか?」というなかなかフザケた、しかし大いなる(と自分では思ってる)志で「しょむ系政治勢力研究会」(しょむ研)サイトを立ち上げ、色々紆余曲折を経ながらも随分経つ事になるが、ここで改めて何故「しょむ系」に注目するかについて問い直してみる事にする。

 何故「しょむ系」に注目するか?それはズバリ「笑いと愛」である。

 しょむ系候補の人々はとにかく突拍子もない事を選挙公報に書き、政見放送で話す。選挙公報に自分の経営する企業の広告を載せてみたり、「マッカーサーから日本の領有権をもらいました」「にしんを食べると怒らない」「一億円下さい」「ミニスカート・ホットパンツ・タンクトップ禁止」「現市長を助役にします」など、世間一般の常識では考えられない「公約」を掲げる。政見放送では自己紹介のみを延々と行ったり、突然歌い出したり、人形劇のおばさんのような語り口で政策を述べたり、いきなり収録中のカメラマンに怒りをぶつけ出したりする。しかも本人は大真面目にそれらの主張を行うのである。

 大半の既製大政党の公報は包括的な政策カタログ、しかもごく一部の党を除いては極めて抽象的キャッチフレーズを並べただけで、ある程度の政治的知識がないと非常に分かりにくい物ばかりである。又、政治に余り関心のない人々の心をつかむ事もなかなか出来てはいないのではないかと思う。しかし、一点特化で突飛である事が多いしょむ系候補の主張は政治的関心・知識が無くても非常に楽しめる。これが「笑い」の要素である。

 又、彼らはそんなぶっ飛んだ(しかし大真面目な)政策を、無視され、馬鹿にされ、笑い者扱いされながらも訴え続ける。一切のプライドを捨て、私財をなげうち、時には命がけで、当選を勝ち取り自らの政策を議会活動を通じて実現するためひたすら立候補し続ける。そんなしょむ系候補の人々にある種の愛情を感じずにはいられない。これが「愛」の要素である。

 更に、そんな彼らの中には磨けば光る「原石」が絶対存在する、そう信じずにはいられないのだ。

 例えば戦前においては、国会議員としては唯一の左翼系議員とも言える山本宣治(労働農民党公認、日本共産党推薦)は「実に今や階級的立場を守るものはただ一人だ、山宣独り孤塁を守る!だが僕は淋しくない、背後には多くの大衆が支持しているから…」の言葉を残し、死刑や拷問・虐殺を伴う思想・言論弾圧が横行する社会の中で、軍国主義・国粋主義推進の天皇・政府・議会・軍部・右翼テロなどのあらゆる反動勢力と命がけで闘った(後に39歳の若さで右翼テロリストに暗殺される)。赤尾敏(建国会、のちの大日本愛国党)は翼賛議会の中で親米反共の立場から対米開戦反対を唱え、自らの主張を当時の首相東条英機に直訴した。

 戦後では、戦前より女性参政権獲得運動を行ってきた市川房枝(無所属、日本婦人有権者同盟)が「理想選挙」を提唱し、金権腐敗政治・選挙の根絶を訴え、自らそれを実践した。青木茂(サラリーマン新党)は「クロヨン課税」などのキャッチフレーズで不公平税制を批判し、都市部のサラリーマンから支持を得た。

 又、当選には至っていないものの、東郷健(雑民党)らがかねてから訴え続けてきたセクシャルマイノリティや性表現の自由の問題は、現在においては最早単なる「笑いの種」としてではなく、当然のように議論や社会運動のテーマとなっている。

 しょむ系候補は、現段階では嘲笑・蔑視の対象でしかなくても、将来的には社会を動かす人物に「化ける」事も十分考えられるのである。

 同時に、そんなしょむ系候補をことごとく排除し、既製大政党のみが議会を独占し続けられるよう巧妙かつ狡猾に仕組まれた現在の選挙制度・議会制度の欺瞞性をえぐり出したい。そして、どんな人でも自由に立候補する事が出来、当選の可能性が保障される選挙制度・議会制度に変えるための大きな運動を起こしていきたい。そんな思いからこのサイトを運営している訳である。

 てな訳で、軽~い気持ちで肩肘張らず、しかしほんのちょっとだけ真面目に政治を語ってみるサイト「しょむ研」を、どうか今後とも宜しく御願い致します。

この作品のキーワード
政治  選挙  しょむ系候補  泡沫候補  ミニ政党  オンブズマン  右翼  極右  ネトウヨ  実話