相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
ニューイヤーキス
私達の年越しは救命の宿直で迎える。

「珍しい組み合わせだな…」

「ですね…でも・・・妻と年越しを迎えられるなんて…幸せ…来年は何かいいコトありそう…」

私達は仮眠室の休憩スペースのソファに腰を下ろして、インスタントのそばを食べながら新年を待って居た。

「マキは俺が邪魔だと言いたいワケだ・・・」

「いや別に…邪魔とは言ってませんよ…高木先生」

「遠回しに言ってるだろ??」

「…そう思うなら、高木先生も早く結婚すれば??」

「俺はまだ・・・」

高木先生は許婚の女性を亡くしていた。


許婚の女性は生まれつき重度の心臓病を患い、入退院を繰り返していた。

最後は心臓移植しか残されておらず、移植の順番を待つ間に力が尽きてしまった。

それは高木先生が研修医時代の話。その時の高木先生はまだ医者になったばかりで、自身の無力さを思い知ったと私達に涙目で話してくれた。
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